サクラドロップス

ゆっくり、ゆっくりと・・・

アタシの足を気遣いながら、けれどうるさすぎない心地よさで

ツバサくんはアタシの歩調を探り、それに、合わせる。


平日の、もう誰もいない、真夜中の商店街。

聞こえるのは調子のはずれた横断歩道の信号の音と

2人の足音と、たまに店舗のシャッターを震わせる風の音だけ。


商店街の店舗に切り取られた長方形の空には

空気が澄んでいるのか、いつもよりもたくさんの星が見えた。

ねぇ、今はちょうどイジワルな雲がかかっていて見えないけれど

もうすぐ、月が丸くなるね。


そして



サラサラと

雪のように


サクラの花びらが舞い散る季節が

もう



すぐ、そこまで来ているね------
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