サクラドロップス

「イツ、キ・・・?」

黙って俯く横顔が、あまりにも儚くて

アタシはイツキの腕を、少しだけ強く握ってみた。


するとイツキは、困ったような、見方によっては泣きそうな顔をして、けれど優しい瞳でアタシを見つめると。

「10年間、ずっと見てたよ。ミユキのこと」

と、言った。


アタシはそれが嬉しくて、思わず顔がほころぶ。


でも、イツキは続けて

「見てたよ。ミユキが・・・『何故か』ボクと似た雰囲気のオトコを目で追うのも、ずっと・・・」

と、言って、切なそうに目を細めた。

「イ・・・ツキ?」

イツキの言葉を聞いて、アタシの心臓は『ドクリ』と、強く脈打った。


記憶・・・記憶・・・イツキが隠した、アタシの記憶。

「・・・でも結局・・・誰にも甘えられずに、強がって・・・少しずつアルコールの量が多くなっていたことも」


俯く、イツキ。

アタシはコクリと、息を飲む。










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