運命に導かれて


外国ではキスは挨拶代わり。


羽衣の居た世界ではそうだった。



きっとここも同じだろうけれど、羽衣が見たのは挨拶なんてそんな生易しいものではなかった。



「アリー。あたしちゃんと自分で気づいたよ。ルカ様が好き。でもこうなるなら気づきたくなんてなかったよぉ。ふぇぇん。グスッ。」


「羽衣様……」


一度溢れだした涙は留まることを知らず嗚咽を漏らしながら羽衣はただ泣き続けた。



アリーは部屋の扉に鍵をかけると羽衣の背中にそっと腕を回しギュッと抱き締めた。







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