社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
□Marriage






「お父さん、お母さん…。今まで私を育ててくれてありがとうございます。これからは頑張って、私なりに生きてきます」





涙ぐみながらそう言うと横からグッと肩を抱かれた。


私の肩をグッと抱いたのは――





「必ず幸せにします」





私の婚約者、基、あと一時間弱で私の旦那さんとなる飯田拓斗さんだ。





「優子…」

「優子の事を宜しく頼みます」





涙目になるお母さんと、私と飯田さんを交互に見つめガチガチになりつつもどことなく笑うお父さん。





「はい。勿論です」

「頼もしい息子が出来て嬉しいよ」





握手する飯田さんとお父さんは世間で言えば感動的なシーンだと思う。


お父さんが愛娘を託す大事な場面。



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