社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



「櫛はっと…」





お風呂から上がって鏡に向かいブラッシングをしている時。


ふと、突然拓斗さんの顔が脳裏に浮かんできた。


その浮かんだ拓斗さんの顔はいつも見てる顔ではなく、私がさっき見た気がした笑顔の拓斗さん。





「本当だったのかな…」





一瞬だったから今のは見違え?


何て疑ってしまったくらい。





「本当、だよね?」





鏡に映る自分にそう聞くと…


‘本当に笑顔見たんだよ。やったね!拓斗さんの笑顔を見ちゃいました〜’


なあんて言葉が聞こえてきた。


バカだと思われてもいい。


聞こえないはずの声が聞こえた事も、その言葉に納得し頷いてしまった私はかなりバカかもしれない――…






< 83 / 635 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop