崩壊家族
「今まで、悪かった。

家のことをさゆりに全部任せて、その…」

呟くようにそう言った夫に、
「だから?

だから何なの?

私、今急いでるの。

用がないんだったら呼ばないでくれる?」

私は言った。

「用…?」

夫は私に向かって珍しそうな顔をした。

「私ね、彼と一緒にアメリカへ行くの。

そこで彼と結婚して、一緒に暮らすの」

そう言った私に、
「は、はあ…?」

夫は信じられないと言う顔をした。

「お前……男が、できたのか?」
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