崩壊家族
「さゆりのじゃないのか?」

「あら」

こんな時に、一体誰なのかしら?

そう思いながら、私はカバンからスマートフォンを取り出した。

電話の着信だった。

「もしもし?」

スマートフォンを耳に当てると、
「山村さゆりさんですか?

三神です」

三神……ああ、刑事さんか。

「何ですか?

また何か用ですか?」

そう聞いた私に、
「ええ、実はあなたの旦那さんが自殺されまして」

三神さんが言った。

自殺って、あの人が?

「今朝旦那さんの会社の関係者と大家さんがお宅を訪ねたら、旦那さんがお風呂場で手首を切って亡くなられていたそうです」

「知りません」

私は言った。
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