空しか、見えない
 エディカードをチャリンと鳴らして、そんな時間にゼリーやプリン、時にはいなり寿司までを買ってしまう。空腹でも、口寂しくても、眠れない。心が寂しいと自覚すれば、症状はもっと重くなる。灯りを消した部屋でベッドに潜り込むようにして毛布をかぶっても、ため息ばかりが溢れてきて、佐千子は自分が熱に冒されているような気がし始めるのだ。
 熱を冷ましに外へ出るのが、いつしかコンビニ通いになっていて、情けないような気がしている。
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