空しか、見えない
 みんなが一斉に箸を出したものだから、そのうち指揮法は変わっていった。

「はい、あなた。環くん。豆腐も食べる」

「待った、のぞむは取り過ぎ。鍋はみんなでひとつです」

 まるで唄うように言うものだから、はじめはみんな眉を顰めていたのだが、そのうちおかしくなって笑い出してしまった。
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