LOVELY☆ドロップ

あたしの中に宿った小さな魂を彼も手放しで喜んでくれて、一緒にあたたかい家庭が築けると思っていたのに……。




……ああ、胸がいたい。

大好きな人に突き放された心が苦しい。


目頭もあつくなる。


あたしはひとり、重くなった足取りでレストランを後にした。






……そして現在――。

土砂降りの雨の中、あたしは横断歩道の手前でうずくまっている。



皮肉なものだ。

家から出た時はあんなに晴れやかな青空だったのに、今は凍てつく氷のような大粒の雨を降らせている。

黒雲から槍のような雨が幾度となくあたしを標的にして打ち付けてくる。


まるで、慶介から捨てられたあたしのことを、神さまも要らない存在だとそう言っているみたいだ。



「……っ、ふぇ」

大好きな人に裏切られた怒りとか、そういうものよりも悲しみの方が強い。

喉からこみ上げてくる嗚咽と共に口を開けると、涙が流れてきた。



「ふええええええん」





あたしはうずくまり、彼との間にできた赤ちゃんがいるお腹をおさえて、ただただ、


泣いた。


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