LOVELY☆ドロップ

ここ、どこだろう。


あたし……どうしちゃったんだっけ……。



どうやら外は雨が降っているらしい。

薄暗闇の中、唯一あたしの部屋と同じような造りをした天井を見上げていると、窓を覆っているチョコレート色をしたカーテン越しから、しとしとと降る雨音が聞こえてきた。



心地いい雨音を聴きながら、突然あらわれた見知らぬ景色の中で放心する。


物音さえも聞こえない静かな部屋でぼんやりしていると、あたしの隣に人の気配を感じた。



ああ、どうしよう。

あたし、どうなっちゃうんだろう。

もしかして、あたし誘拐されたの?

その人に殺されちゃうの?


感じた気配で一気に恐怖が押し寄せてくる。

あたしの胃が萎縮(イシュク)し、ドキドキと心臓の鼓動が速くなる。



それでも勇気をふりしぼり、強ばった体を気配がする方へとゆっくり倒す。

すると、そこには大きな目を閉じてスヤスヤと寝息を立てている女の子の姿が見えた。


どうやらあたしが感じた気配は彼女だったようだ。

肩までのふんわりとした栗色の髪の毛が規則正しく呼吸する肩といっしょに揺れている。

天使のような可愛らしい女の子。


恐怖とは無縁のように思える女の子の姿で、怯えていたあたしの心はほんの少し和らいだ。


そこで気がついたのは、この子を見たことがあるかもしれないということだった。

だけど、いったいどこで出会ったのか。


……思い出せそうで思い出せない。


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