アザレア
……イ、メイ――…


私の名を呼び続けるのは誰だろう。

優しくも切ない声色に反応し、私は知らぬ間に閉ざされていた瞼を持ち上げようと力を込めた。


薄く目を開いた途端、視界に飛び込んで来るのは白亜。
朝日に照らされたカーテンと、同色の壁紙が目に染みて痛い。


「休むか?」

「ううん、……行く……っ」

眩しさに顔をしかめ、思わず掛け布団の中へと潜りこむ私の頭上で衣擦れの音がし、おもむろに体を起こせば、ワイシャツの姿の社長が襟に引っ掛けていたネクタイを結ぼうとしているところで、


「今、何時……ですか!?」

時間を問おうとしてハッと我に返り、私は慌てて言葉遣いを正す。
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