セックス·フレンド【完結】
「ねぇ、隆也」


押し倒そうとした彼にあたしは、訪ねる。


「12月…クリスマス前後に会えないかな?」


「…どうして?」


「プレゼントのお返し、しなくっちゃ」


彼は少し考えてから、「厳しいな」と答えた。


「来月、結構忙しいんだ」


「そう…」


「もしかしたら、今年いっぱいは無理かも…。クリスマスも仕事だし、年末年始は、刑務所も忙しいから」


「でも、もらいっぱなしじゃ…」


言いかけたあたしの口を、隆也は唇でふさいだ。


「そんなこといいんだ。美杉の体でたくさん返してもらうから」


そう冗談混じりに言った隆也に、あたしは頷くしかなかった。


あたしは求められている。


今は体だけでも、そのうち…。


何度も言い聞かせてきた言葉に、でも、あたしは、疑問を抱き始めていた。



本当に、心まで求められる日は、くるのだろうか?



隆也の動きに合わせて、ネックレスのチェーンが、まるであたしを慰めるように、肌をすべった。
< 125 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop