セックス·フレンド【完結】
あたしと別れたあとも、彼は少しも動揺することなく夢に向かって歩き続けていたのだ。


警察官にはならなかったようだが、刑務官だって剣道を生かせる仕事だし、安定した公務員だ。


それに対して、あたしはと言えば、一体何をしていたのだろう?


男のために若い時間を棒にふるなんて馬鹿げているのかもしれない。


西村君の言うように、都合のいい女として隆也を引き止めるより、まずは自分を磨き上げ、いい女になってから振り向かせるべきだ。


わかっている。


でも、ダメだ。


今のあたしには、こんな風に体を使って隆也を留めておくことしかできないのだから。


あたしには、なんにもない。


誇れる仕事も、夢中になれる趣味も。


いつか隆也を取り戻す。

その想いだけが、今のあたしを突き動かしている。
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