四竜帝の大陸【青の大陸編】
「異界から無機物を取り出す術は許可されている。だが生物は禁止だ。虫1匹でもな。この世界の生態系に影響が出るとまずい。我は禁を犯した者を<処分>する。この世界の決まりだ」

世界の決まり……。
なんでハクちゃんがそんな重要な事をしてるの?
小さい竜のハクちゃんは、この人達にとっては何なの!?

「ハクちゃんって……神様?」

日本では竜……龍は神様とか神獣だった。
空想上の。

「我は‘神‘などという不確かな存在ではない」

ハクちゃんは小さな頭をそっと私の胸に寄り添わせて、言った。

「我は<監視者>。<秩序>の<管理者>。監視し、管理する者。永久の存在」

念話の“言葉”が頭に響き。

「我はりこの<つがい>。ずっと……りこを探していた」

私の心を震わせた。




 
「わかった?絶対だからね、ハクちゃん」

私達はまださっきの場所に居た。
洗面所前で会議中。
私は決めた。
私は私のやり方であの二人……美少女ミー・メイとインメン君に、責任をとってもらうのだ。
誕生会の余興。
しかも、失敗なんて酷い。
 
「通訳は私の言葉をそのまま伝えて。ハクちゃんの言葉・考えは混ぜないで」

ここの人達はハクちゃんを敬う……っていうより恐れてる気がして念を押した。
洗面所に行った侍女さん達はハクちゃんの近くを通るのが怖かったから、震えてたんだ……。

「分かった。我はりこの望むままに。で? 処刑方法が決まったか?」

やっぱり<処分>って、そういうことか!
ハクちゃんは今まで沢山の人を……?
でも、ここは異世界。
そういうものだと言われたら、何もいえない。
それに私の世界にだって処刑……死刑はある。
死刑があるってことは、それを執行する人が居るってことだし。
仕事として行う人達が、日本にも海外にも存在してる。
私には処刑を否定する知識も、権利も……勇気も無い。

「違うの、そうじゃなくて。これからの事もあるから……どうすることが良いのか、考えてたの」

ああ、視線を感じる。
侍女さん達が不安そうにチラ見してるし、美女がこっち来るし~。

『お待たせしました。お気に召すものがあれば良いのですが』
「好きな物を選べと」

ハクちゃんの通訳はニュアンスが間違ってると思う。
だってこの人は、優しく丁寧に喋ってる感じがするのに。

「ハクちゃん、約束守ってね。私の言葉で伝えてね?」
「うむ」

私はハクちゃんを信じてますから! 
俺様は封印なんだからね!?

「先ほどは、有難うございました。衣類も用意してもらい感謝します。でも、着替えの前にあそこの二人に大事な話があるんです。他の人は退室して下さい。話が終わったら声をかけますから」

頑張れ、私! 
ここで生きてくために……踏ん張れっ!
 
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