四竜帝の大陸【青の大陸編】

セクシー美女と侍女軍団は部屋から出て行った。
一斉に礼をして退室する姿はかなりひいた。
だって、されたことないし。
ま、私にじゃなくハクちゃんにしたんだろうけど。
去り際に見た美女の微笑みがちょっと気になる。
何故か楽しげだった。

トイレ先生の美女はハクちゃんに対する感じが……態度が侍女さん達と全く違うし。
怖がってないし、堂々としている。
洗面所でハクちゃんと念話してる姿は怖がるどころかなんというか……親しげ? 
うん、そんな感じが近い気がする。
ハクちゃんの知り合いだったとか?
あ!
名前聞くの忘れてた。
私も焦ってたから、名まえ言うの忘れちゃった。
トイレ使用方法を教えてくれた恩人なのに……。
後で確認しなきゃ。
あの人には今後もお世話になる気が、すごくするし。
最初にトイレを教えてもらったから親近感が……。
それに、彼女はハクちゃんにびくびくしてなかった所も好感度UPのひとつ。

「りこ?」
「あ、ごめんハクちゃん! 次の言葉を考えるからちょっと待ってね」

今は目の前に集中しなきゃ。
螺鈿細工が素晴らしいテーブルを挟んで座っている2人……美少女とイケメン君。
彼らにはハクちゃんが私の言葉を代わりに伝えること・跪くのはやめて席に着くことを了解してもらった。
次の段階だね。
えーっと、自己紹介してもらい彼らの名前とか立場とかを知らなくちゃ。
私の計画を成功させるには、彼らの名前より立場が重要なんです!
よし。
念を送るよ、ハクちゃん。

『 私の名前は とりい りこ です。何故、私がこちらの世界に来ることになったかはハクちゃんに聞きました。謝罪はこの場では必要ありません。昨夜、謝ってくれたのは私にも伝わっていますから 』

二人の眼が私をじっと見ている。
次にはハッとしたような表情でハクちゃんに視線を移した。
すごくびっくりしてるみたい。
なんでかな?
ねぇハクちゃん、なんで?

「この二人は先程の女のように聡くは無いからな。最低限の補足をりこの言葉の後に足した」

え!
なんて言ったの?
でも念話って内緒話に便利だね。
日本語を口にしたって彼等に意味は伝わらないけれど、それがかえって相手を必要以上に警戒させる可能だってある。
念話なら目の前で打ち合わせしてることすら、バレないもの! 
で、なんてハクちゃんはなんて足したの?

「りことハクはつがい名ゆえ、貴様らが口にする事は許されない。それと我のりこを凝視するな、減る。と言った」

へ、減る~!?
うわっ、恥ずかし過ぎるぅうううっ!!

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