【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「昨日さぁ、俺、キャバクラに行ってきたんだ」
ある日曜日、ドライブ中にサトシが突然そんなことを言い出したので、私は驚いて運転席のサトシに顔を向けた。
「キャバクラ?」
キャバクラに行ったことを恋人にわざわざ伝えるとは。
悪気はないのだろうけど、聞かされる方としては複雑な気分だ。
「製薬会社の人に接待で連れて行かれたんだ。それでさ、俺、そのキャバクラで可哀相な子と知り合ったんだよ」
「可哀相な子って?」
「リリカちゃんっていうんだけどさ。お父さんが失踪して、病気の弟のために手術代を稼がないといけないんだって! 健気だと思わないか?」
「……」
そんな、一昔前に使い古されたような話……
嘘に決まっていると思うのだけど。
「だから俺、リリカちゃんの力になりたいと思って。そのキャバクラに頑張って通おうと思うよ!」