今夜、俺のトナリで眠りなよ
「あ、ごめっ。一樹君のタオル……」

 私は脱衣所のドアをガラリと開けた。

 すでに上半身、裸になっている一樹君の背中を私は目の当たりにする。

「きゃっ!」と、慌てて引き戸を締めると、「タオルを……」と声をかけた。

 一瞬しか見なかったけど、一樹君の背中に大きく傷が左肩から右わき腹にかけてあった。

 もうずっと昔の傷だと思う。でも痛々しく、その傷は残っていた。

 前に、上着の裾をちらっと優樹さんに見せた傷の一部が、つきさっき見た傷なのだろう。

 あんなに大きな傷。一樹君、大変だっただろうに。

 すごく痛かったに違いない。もしかしたら、今も痛みがあるかもしれない。

 私がぎゅっとタオルを抱きしめていると、ガラッと扉が開いた。

「ノックぐらいしてよ。俺がいんの知ってんだから」

 一樹君が、いつもと変わらずの笑顔を向けてくれる。

 さっきまで上半身裸だった一樹君は、シャツを上に羽織っていてくれた。
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