今夜、俺のトナリで眠りなよ
 今夜は、夫の会社のパーティ。ホテルの会場を借りて、立食パーティだ。

「社長、榛名様がお越しになりました」

 秘書の谷島 美咲さんが優樹さんに耳打ちをする。

 胸元の大きくあいた真っ赤なドレスが良く似合う女性だ。

 首にはキラキラと光り輝く大粒のダイヤのネックレス。耳にもお揃いのピアスをしていた。

「榛名ってヤツ、セクハラで有名だから。気をつけて」

 私の隣に立っている一樹君がぼそっと呟いた。

「一樹、どうして君がここにいるのかな?」

 優樹さんが、冷たい視線で一樹君を見やった。

「たまたま?」

「たまたまなわけがないよね。いつもなら、僕の挨拶が終わるなり、すぐに帰るのに」

「腹減ってるから。ここで飯を食って行かないと。今夜は桜子さんの料理は望めないだろ?」

 一樹君が、にっこりと笑った。

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