今夜、俺のトナリで眠りなよ
「無理よ。優樹は、結婚に魅力を感じてないから」

 あんたと兄貴が結婚してくれれば、俺だって『愛人』って道を選ばなくて済んだんだ。

 って、桜子さんは俺を『愛人』にはしないんだろうけど。

 真面目な人だからな。

 理性で食い止めるんだろうな。

 俺を好きに利用すればいいんだ。

「兄貴は結婚に愛を求めてないからな」

「その通り。結婚は、ただの契約だから。地位、権力、財産……それらを拡大するための契約。そこに愛は存在しない」

「ほんと、親父そっくり」

 俺はくすくすと笑った。
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