貴方の愛に捕らわれて
香織の母親には、付き合っている男と一緒になるため、家を出る事を了承させた。



その際、結納金としてまとまった金を渡し、今後、香織に関する一切を婚約者に任せると一筆とった。



ところが香織の母親は、結納金として用意した金を、風呂屋に売り飛ばされた支度金と勘違いしたらしい。



自分の娘がヤクザ者に騙され、風俗で働かされるというのに、止めるどころか警察の摘発にあっても自分の名前を出すなと言い、挙げ句に自分も男と暮らすから二度と戻って来るなとは。



香織の話から、娘に対して愛情を持っているようには思えなかったが、ここまで酷いとは。



香織の生みの親だから大目に見てやるつもりでいたが、やはり許してはおけねぇな。



だが、先ずは傷ついた香織を癒やすのが先決だ。



香織の母親への報復は、後でゆっくり考えればいい。



俺はやりかけの仕事もそのままに、香織が待つマンションへ急いだ。





猛 saido end



 

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