貴方の愛に捕らわれて

「初めてお前と出会った時の事、覚えてるか?


あの日、俺は殺伐とした毎日に胸の奥が疼いて、気分転換の為に砂浜を歩いてた。


そうしたら、何処からともなく綺麗な歌声が聞こえてきて、その声に惹かれてお前を見つけた。


お前の歌を聴いていると、不思議と胸の疼きが治まった。



次の日もお前の歌が聴きたくて、気が付けば、あの砂浜に足が向いてた。


ただ、お前はきっと現れないだろうと諦めていたがな」



『どうしてですか?』



自嘲気味に笑う猛さんが不思議で、腕の中でぽつりと呟く。



「ははっ。普通はビビるだろ?俺みたいな男がいれば」



確かに。初めて猛さんと出会った時は、ビックリして足早にその場を立ち去ったっけ。



でもそれは知らない男の人に驚いただけで、別に猛さんが怖かった訳じゃない。


 

< 221 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop