窓際のブラウニー


出会いは、22年前。


歯科医院の受付をしていた私と、そこによく顔を出していた医療関係の営業マン。


4才年上の夫は、当時とても素敵だった。


バリバリ働いている姿を横目で見ながら、密かに憧れていた。


同じ歯科医院で働く先輩も、夫に憧れていた。




「今度、飲み会しませんか?」


声をかけたのは先輩だった。


3対3で、お洒落なバーで飲み会をした。



その時、夫が来ていたグレーのスーツは、サイズが合わなくなった今でも捨てることができない。



これが、私が離婚できなかった理由だろう。




愛がないようで、実は愛がある。




諦めることで感じなくなっていた『寂しさ』は

消えたわけじゃなく、封印しているだけ。




やっぱり求められたいと願う自分がいる。




昔のように…夫からの愛の言葉をどこかで待っているのだ。






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