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 そのキスの後は、何事もなかったかのように過ごしたけれど、本当は、混乱してあまり覚えていない。
 課題は終わっていたので、どうにか終わらせたようだ。
 気づけば、ソファで二人でくっついてくつろいでた。
 陣は私の右手を握って、もてあそんでいる。そして陣が私の耳元で、

「このまま一緒に寝たいな……」

 と、ちょっと真剣に聞こえる声で言った。


 陣が帰った後、私は今日あったことを思い返した。
 だけど、夢みたいに靄がかかっている。
 というか、夢だったのではないかと、疑る。

「キス……しちゃった……?」

 でも、おかしい。
 なんで、キスなんか?
 陣には、彼女がいるのに。
 陣と私は、友達なのに。
 動揺から、私は、何をすればいいのかも、わからなくなってしまった。
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