気ままに生きる

　忘れもしない、はじめてLSD（非常に強力な幻覚剤）をやったのはウエスタン・カーニバル（日劇ウエスタン・カーニバル…1958年人気のウエスタン、ロカビリーのフェスティバルとしてスタート、60年代はグループ・サウンズで超満員となった）のときで、リズってヒッピーの女の子が差し入れで持ってきたんだ。LSD25ってやつ。いちばんすごいやつ。

　でもその時はたいしたことないと思って、その帰りにビートルズの「ホワイト・アルバム」とクリームの「素晴らしき世界」の2枚を買って、うちに帰って聴いたんだ。そうしたら怖くてさ、もう二度とやりませんっていうくらい強力な幻覚だった。

　「ホワイト・アルバム」を聴いたときは部屋中が冷え込んで、天井からつららが降りてきて、北極にいるみたいだった。

　この状況から逃れるためには、なぜかお線香をたいて鍋を食べなきゃいけないと思い込んで、鍋にお線香をいれてストローで汁を飲んだりしたよ。


　もちろんそれでも治らないけど。「もう二度とやりません、僕を許してください」って、そのくらいひどかった。

　次の日もウエスタン・カーニバルに出るんで電車に乗ったんだけど、みんな乗っている人が怖いんだ。ゾンビがたくさん乗っているんだよ。

　なんとか会場についてステージに上がっても、楽器を弾いてる感覚がよくわからなくてピックが弦になかなかあたらない。それで必死に弾き過ぎてベースの弦が切れちゃったくらい。とにかく本当にすごかったんだ。

　良い子のみなさんはこういう悪いことはしないように。今では自分もキレイな体になりました。