やっぱり、好きだ。
 



 それから森田は女遊びをピタッと辞めた。

 サヤ子を傷つけてから、俺も女と遊ばなくなっていた。

 森田は毎日サヤ子と連絡を取り合い、2人はどんどん仲が良くなっていった。

 そんな2人の様子をそわそわしながら横目に見続ける日々が続いたある日。

 バイトの休憩時間、控室で森田と2人で缶コーヒーを飲んでいると、

 「俺、サヤちゃんに告うわ」

 決意を固めた森田が、律儀に俺に報告をしてきた。

 「・・・え。」

  森田の宣言に、驚くと言うよりは『遂に来たか』と顔を顰めてしまった。

  「俺、来月から留学するじゃん。サヤちゃんに待っていて欲しいんだよね」

 ウチの大学の外国語学部は2年の途中で留学するのが必須だった。

  「・・・そっか」

応援出来ない俺は『そっか』としか言えない。

森田は凄くいいヤツだ。サヤ子はOKするかもしれない。

 

 絶対に嫌だ。

 俺はこの後、親友にまでも最低な事をする。
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