やっぱり、好きだ。
 


 
 その日のバイト帰り、コンビニで雑誌を立ち読みしているサヤ子を見つけた。

 「森田待ってるの?? 森田はもう1コマあるから当分終わらないよ」

 サヤ子に近づきと声を掛けると、俺と2人でいるのが気まずいのか

 「うん。でも待つよ。何か話があるらしいから」

 サヤ子は読んでいた雑誌を閉じ、元の位置に戻すと、軽く俺に会釈をしてお菓子コーナーへ移動しようとした。

 サヤ子の言葉に、森田が今日告うんだと確信した。

 サヤ子が森田に取られてしまう。

 

 俺はまたサヤ子が傷つくだろう事を平気で言う。




 「お前さぁ、付き合ってもない男をコンビニでずっと待つって、ストーカーしちゃってない??」

 サヤ子の後頭部目がけて酷い言葉を投げつける。

 「あ・・・」

 サヤ子が俺に背を向けたまま立ち止まった。

 「森田は優しいから『迷惑』とか言わないかもしれないけど」

 振り返りもしてくれないサヤ子に苛立って、更に追い討ちをかける。

 「・・・また、気づかなかった・・・」

 ぎゅうっと鞄を握りしめるサヤ子。

  「私・・・帰るね」

 サヤ子は俺の顔を見る事なく、そのまま逃げる様にコンビニを出て行った。




 この日から、目に見えてサヤ子と森田はギクシャクしていった。
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