やっぱり、好きだ。
 「「R町」」

 さらにまさかのR町被り。

 2人だけで帰すのに一抹の不安が過る。

 でもそうだ!! 2人の為に気を利かせよう。そうすれば、青山くんと一緒に帰らずに済むではないか!!

 「青山先生、桜井先生は彼女さんですし、女性だけで帰すのは危険ですから送ってさしあげては・・・」

 私の提案に、朝倉先生が小さくガッツポーズをしたのが見えた。

 桜井先生ごめんなさい。でもきっと、朝倉先生の事は青山くんが上手くあしらってくれるはずです。と、桜井先生に懺悔の念を送っていると、

 「また2人に挟まれろって?? 3時間耐え抜いたのに??」

 頭上から青山くんの不機嫌な呟きが聞こえてきた。私に向けた、わざと私にだけ聞こえる音量で喋る青山くん。

 昔は相当の女たらしだったくせに、今は改心したのだろう。本命がいる場で自分に擦り寄る朝倉先生をあまり良く思っていないのか、青山くんにとってさっきのあの3時間は地獄だったらしい。

 声色で私に苛立っている事は明らかな青山くんの顔を見上げる勇気はなく、『どうしよう』と視線で安田に助けを求めようとした時、

 「安田、お前が送れ」

 青山くんの口から絶望的な言葉が。

 ヤバイ。それだと青山くんと2人で帰らないといけなくなる。
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