やっぱり、好きだ。
 
 焦る私の腕に、

 「俺は、サヤ子センセと帰るので」

 安田が絡みついてきた。

 うん!! 一緒に帰ろう安田!! ここぞとばかりに安田にピッタリくっつくと

 「先輩命令。早く行け」

 青山くんが私と安田を引き剥がした。

 青山くんは、余計な事をしてしまった私の事を見逃してはくれないらしい。

 「うー。じゃあ、また明日ね。サヤ子センセ」

 私なんかと一緒に帰りたがってくれる安田が、淋しそうに私の頭を撫でた。

 「また明日ね」

 安田があまりにかわいいので、私も安田の頭を撫でようとしたが、届かない。

 爪先立ちになりながら手を伸ばしていると、安田が膝を曲げてかがんだ。

 「サヤ子センセも撫でて」

 「弟にしたい」

 安田の頭をわしわし撫でる。

 「サヤ子先生、行きますよ」

 青山くんがなかなか帰ろうとしない私の手を引いた。

 

 青山くんまで名前の方で呼ぶんだ。
< 50 / 353 >

この作品をシェア

pagetop