やっぱり、好きだ。
「分かった。誰にも聞かずに心当たりを探してみる。私が出たら、内側から鍵かけて。今日の保健室は吉村さん専用です」
とりあえず、吉村さんに腕を放してもらおうと、咄嗟にありもしない『心当たり』とやらを口に出す。
「本当に誰にも言わないで下さい」
私に念を押しながら、吉村さんがそっと手を離した。
「うん。約束」
吉村さんの肩を撫で、保健室を出た。
・・・約束、してしまった。
『出来ない約束はしてはいけないよ』って小さい頃からおばあちゃんに言われてきたのに。
でもだって、あそこで吉村さんと『どうしよう、どうしよう』って悩んでいても埒が明かないと思ったから。
ひとまず、職員室行ってみよう。何かあるかもしれないし。