悪魔のようなアナタ【完】
灯里が勤める『忍村商事株式会社』は『忍村株式会社』の子会社にあたる。
親会社の忍村株式会社はこの地域では有名な総合企業で、いろいろな事業を手広く展開している。
忍村商事株式会社はその商事部門専門の子会社だ。
「まだ若いらしいから、親会社から何年か出向して箔をつけて戻るってことかな?」
「なるほどー。上の世界で生きるのも大変ですね~」
灯里はははと笑った。
灯里にとっては取締役は雲の上の存在で、遠すぎていまいちピンとこない。
しかし4時から集会があるのなら、急いで仕事を片付けないとならない。
灯里はキャビネットからファイルを取り出し、書類の山をまとめ始めた。