悪魔のようなアナタ【完】



晃人は思わず口元を覆った。

自分が指示したことでここまで灯里が苦しんでいるとは思ってもみなかった。

もしわからなければ部長経由で自分に聞いてくるだろうと思っていたのに……。


「灯里……」


灯里の涙が晃人の心を揺さぶり、そこからじわりと痛みが広がっていく。


灯里が泣かないで済むように、灯里が笑うように……。

父のように兄のように、晃人は昔からずっとただそれだけを願ってきた。

けれど……。


「あれは……」


晃人の瞳に玲士の姿が映る。

水澤玲士。

――――氷の美貌を持つ男。


晃人は玲士と同じ部屋ではないが同じフロアにいるため、何度か彼の姿を見たことがある。

周りの話では大学時代に国際会計検定で800点をマークしたかなりの秀才らしい。

国際会計検定は一般企業ではあまり知名度のない資格だが、税理士資格を持つ晃人はその凄さが理解できる。

800点ともなればこの地方都市で職に就くより、都内の一流の会計事務所、もしくは国際会計事務所に勤めるのが普通だろう。

そんな彼がなぜこの会社にいるのか……。

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