密フェチ†真夜中の蝶


「お願い、もう…、」

「まだ、許さないよ」



真夜中のオフィス。


ほんの何時間か前には、働いていたこの場所で。

天使の顔をした王子は、毎夜、悪魔に変身するのだ。


「なんでそんなに濡れちゃってるの?俺に見られて感じてるの?ねぇ、変態なの?」

「ちがっ、」

「違わないよ、ほら」

「ゃ、…っ!」

「ね---、俺の指、ビショビショでしょ」


恥ずかしすぎて私が泣き出すまで、言葉で攻め続ける確信犯。



「ヒッ、ク…もぉ…ヤ、だ…」

こらえていた涙が、堰を切ったように溢れだす。

「あーあ、泣いちゃった」

泣かしたのはあなたじゃない。


なのに、なんだか嬉しそうなのは、なぜ?


彼の手が私の首の後ろにまわり、自分の腕の中へと引き寄せる。
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