眠り姫の唇
「まだ時間大丈夫だな。」
「え?」
岩城は軽く時計を見ながら呟いた。
「瑠香も一緒に行くか。」
ニカッと珍しく破顔して、岩城はハンドルを切る。
「どこに行くんですか?」
「秘密だ。」
岩城はそう楽しそうに笑って家路を急いだ。
家についてからワタワタと言われたままに準備する。
「…こんなラフな格好でいいんですか?」
訝しげに瑠香が岩城に訪ねても、首を縦に振るだけで岩城は何も教えてくれない。
またすぐに車に乗り込んで、岩城は道を急いだ。
車で20分ぐらい走らせた所で、岩城はある場所に入っていく。
「わぁ…。」
やたらと綺麗な建物に、岩城は瑠香を案内した。
岩城は窓口らしい所でカードを差し込む。
ピッと認証されて、ゲートを通った。