眠り姫の唇
最後の人達まで二人はたどり着き、
最後に白くて大きな丸い風船を、ハート型をした杖の先で割る。
パンっ!とはじけた風船の中から、いっぱい赤やピンクのハート型の風船が飛び出し、青空に飛んでいった。
それにワー!と歓声が上がる。
そんな光景を見つめながら、瑠香は岩城に話しかけた。
「岩城さん。」
「なんだ。」
「好きです。」
「知ってる。」
岩城も前を見つめながら応えた。
「岩城さんも幸せになって下さいね」
「ふ。」
岩城がおかしそうに微笑む。
「おい。」
「はい。」
「愛してるよ。」
「……しっ、知って、ま…。」
「なに泣いてんだ。」
ギュッと岩城のスーツを握りしめ、瑠香は必死に涙を止めようとした……。
【Fin】