眠り姫の唇
※祝!!総PV20万!!の時に配信した奴です。


◆番外編◆

【眠り姫の唇より】




「ん?なんだ?DVD借りてきたのか?」


「あ、はい。いーですよね、岩城さんとこはレンタル店も近くて。」


風呂上がりの岩城をスルリと抜けて、瑠香はジュースとつまみを用意する。

「岩城さんも見ます?最新作らしいんですけど。」


「それ、面白いのか?」


「んー…さあ。見てみないとなんとも。」


岩城の映画の趣味なんて分からない。

一応岩城の酒も用意して瑠香はソファーに座った。






……‥








「…つまらん。」


隣にドカッと座り、難しい顔をして画面を見つめる岩城に瑠香はげんなりした。


「……つまらないんならベッドで寝てて下さいよ。音小さくしますから。私は結構面白いと思うんですけど。」


真剣に見ていたので、横で声を出されるのもイライラする。


「瑠香は寝ないのか?」


「だから、私は見てるんですってば。」

瑠香は、まだ声をかけてくる岩城の腕を、邪魔者でも追い出すようにぐいぐい押した。


「仕方ないな…。」


そう溜め息をつきながら岩城はいきなり瑠香の柔らかい膝に頭部を乗せる。


「へ…っ!?」


「ここで寝る。」


「や、ちょ、…」


なんでわざわざこんなところで寝るんだ!

寝る前なので、瑠香は短めの短パンを履いていて、肌に直接岩城の髪や体温を感じてしまい、心臓がバクバクと言い出した。


くすぐったいのと、ドキドキするのと。


そのまま瞳を閉じる岩城に、瑠香は身体を硬直させながら、一応目線だけ騒がしい画面に向ける。






「………。(困った。全然頭に入ってこない。)」







映画が終わるまで、どうしても膝の方に気を取られてしまったOLのお話。






【2012.08.01ファンメール】
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