眠り姫の唇

岩城の寝起きは最悪だ。


人肌恋しいのかなんなのか知らないが、人から弄り回されながら起こされるこっちの身にもなってほしい。


「俺の隣で寝ているお前が悪い。」


「言いがかりもいい加減にしてください。」


髪をとかしながらプンスカしている瑠香を岩城はめんどくさそうに見つめ、ボソッと呟く。


「日曜なんだから別にいいだろう。」


どういう理屈かさっぱり分からない。


「日曜だったら隣に寝てる女を撫で回してもいいんですか。」


「いいに決まってるだろ。」



な ん で !


「ワケ分かんないこと言わないで下さい。」


毎回心臓と下半身に悪いんです。


ざっくりと身支度を整えて、瑠香は財布を持ち、靴を履く。


「おい、どこいくんだ。」


少し焦ったように岩城が瑠香の腕を掴んだ。

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