こちらミクモ探偵事務所5

恵一を黙らせ、スタスタと歩いていく。

現場の前には、黄色いテープが張ってある。
人の敷地内のせいか野次馬はいないが、それでも捜査員などでごった返していた。

そのテープの前で、おろおろとする少女が一人。
ホームズのような帽子を被り、中を覗き込もうと必死になっている。

「朝から挙動不審だな」

紘哉に声を掛けられ、羽兎は驚いたように振り向いた。
そして、帽子を被り直す。

「失礼しちゃう!だって、中に入れてくれないんだもん!」

「当たり前だ。どう見ても、人ん家に入り込んでまで事件を見たい、失礼な野次馬にしか見えない」

「うぅ……最近紘哉さん酷くない?」

「元からですよ」

紘哉を押し退け、恵一が羽兎に向かって頭を下げる。

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