冷めた指先で、火をつけて
「ごめん」



 彼の低い声。また首筋がぞくりと震えた。

「怒った顔もかわいい」

「あのね、私は……」

 甘い囁きには騙されない、と決意した直後だった。

 彼の唇が私の耳に触れる。柔らかい感触と、熱い吐息でくすぐったい。



「やっ……やめ……」

「やめないよ」



 彼の声が掠れている。

「こんなかわいい格好してくるから、ドキドキするだろ?」

「うそよ。ゲームしてて、こっち見てなかったくせに」

 彼がクスッと笑った。その吐息がくすぐったくて私は身震いする。

「少し気持ちを落ち着かせたかったんだ。……それとも、いきなりこういうこと、してもよかった?」

 泣きたくなるほどのこそばゆい感覚に気が遠くなった瞬間、彼の手が私のブラウスを巧みに捲り上げ、滑り込んできた。
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