ビロードの口づけ
「望み通り、乱暴に扱ってやる」


 そんな事望んでいない!
 ようやく逃げようとしたがすでに遅く、ジンは乱暴にクルミをソファに押し倒した。

 ひざに伏せた本がバサリと音を立てて床に落ちる。
 咄嗟に腕を交差させて両肩を掴み、胸をガードした。

 ジンは体重をかけてクルミの上半身を押さえ込み、目の前でクッと余裕の笑みを漏らす。
 その時になって痛恨のミスに気付いた。
 これでは手の自由がきかない。

 ジンの右手がソファの外に投げ出されたクルミの足から、スカートをたくし上げる。
 スカートの下に滑り込んだ手のひらが太股を撫でて、胸を触られた時と同じ感覚が背筋を走った。

 無駄だと思いつつも、クルミは涙目で訴える。


「や……やめてください。私が嫌いならかまわないで……」
「嫌いだから、乱してやりたい」

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