夢の外へ
たまたま入ったカフェで千景とあかりさんがもめているところを見たなんて、そんなこと言える訳がない。

「社長さんとケンカしたの？」

「…そんなんじゃないし」

「じゃあ、何で？」

「いちいち言わないといけない理由でもあるの！？」

突然怒鳴った私に、杏樹がビクッとなる。

「――あ…」

杏樹に八つ当たりなんかして、私何やっているんだろ…。

「ごめん…。

つい…」

杏樹に謝った。

「私の方こそ、ごめん…。

明日香は言いたくないのに、つい深入りしようとしちゃって」

私につられるように、杏樹も謝る。

それは仕方がない。

困っている人を見ると放って置くことができない、杏樹の性格ゆえだから。

結婚相談所に勤めていたと言うことも理由になるのかも知れない。

「とりあえず…明日香の気の済むままいてもいいから。

祐二は今日は仕事で帰ってこれないって言ってたし」
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