君と恋に堕ちた事について
「もう、電車ないよ。」

麻実がオレの腕の中で呟いた。

「呑み過ぎて、カプセルホテルに泊まった事にするよ。麻実は、大丈夫なのか?」


「うん。大丈夫。」


そう言うと麻実は体を起こし、オレをジッと見つめた。


「本当に今日は、ありがとう。私ね…」


そう言うと麻実の目から涙がこぼれた。

慌てて、麻実は涙を拭くと後を続けた。

「私ね…ずっと言いたかった。あなたを愛してるって。だけど、迷惑だと思ったし、困らせちゃいけないって。今日伝えたら、もう忘れる努力をしようって。でも…」


「でも?」


「忘れる自信がない。」

オレは、麻実の顔にかかった髪を払った。


「オレは、忘れるなんて出来ないよ。ずっと、愛してる。これからも。」
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