ギルディラヴ~社長と誓う偽りの愛~
「・・・」


私の初めてを奪い悪びれる雰囲気はない。

私は彼が肌を交わした一人の女に過ぎない。


このまま、私たちは後僅かで、街角ですれ違っても赤の他人となる。


「十和子…お前の家まで、送ってやるよ」


「ありがとう・・・」

風宮さんはそう囁き、私の背中を通り過ぎる。
腰に巻いたバスタオルを外して、あられもない後ろ姿を私に見せた。



私は逃げるように、洗面所を出て行った。



心臓が喉奥から飛び出すくらい、バクバクバクバクといつまでも騒がしい。
昨日の夜の同じだ…

私の命を救い、砂漠の枯れかけたオアシスのような私を抱き締めてくれた人。



社長に感じたドキドキ感とは違う。

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