獣は禁断の果実を蝕むのか。
ヒートシール

完全なる二日酔い。


無事に家に帰れたことが奇跡。


「おはようございます。」


ゲッソリとした顔をしながら、専務に届いていた書類を持ってきた。


「無事に出社できたんだな。」


まるで、幽霊でも見ているかのように、眉をゆがめながらポッカリと口を開けている。


どうして、そこまで驚いたような顔をするかが分からない。


「昨日は、ありがとうございました。」


記憶はないですけど。


「すみませんでした。の間違いじゃないのか?」


その専務の言葉に記憶を掘り起こそうとしても、二日酔いと完全に抜けている記憶。


思い出したくても、思い出せない。
< 148 / 387 >

この作品をシェア

pagetop