スイートスキャンダル
「こっちは貰いますね」


柊君は満足げに微笑んで、空になった缶をあたしの手から抜き取った。


ニコニコと笑う彼に、あたしはすっかり強気でいる事が出来なくなってしまっている。


この短時間でこんな関係が出来たのは、柊君の外見からは想像出来ない程に腹黒い、彼の性格のせいに違いない。


25歳を過ぎた頃から仕事が恋人で、ラフな格好でビールとスルメで晩酌をするのが最高のご褒美。


そんな三十路(ミソジ)前の女を難無く扱える柊君は、きっとそのルックスを最大限に活(イ)かして、たくさんの女の子を泣かせて来たはず。


偏見かもしれないけど、そうだとしか思えなくて…


何だか悔しくて、さっきから上機嫌な柊君を睨んだ。


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