スイートスキャンダル
「女の敵ね……」


「はい?」


ポツリと呟いたあたしに、柊君が首を傾げている。


「昔はあんなに可愛かったのに……」


あからさまにため息をつくと、彼は目を見開いた。


「……俺の事、ちゃんと覚えていてくれたんですか?」


「……さぁね」


「教えて下さいよ」


不意に必死になった柊君を見て、ほんの少しだけ意地悪をしたくなった。


せっかくの夏休みなのに有紀と彼に振り回されているのだから、それくらいの事をしたって罰(バチ)は当たらないはず。


「遥さん、教えて下さいよ」


あたしは柊君を無視して、映画のシーンのように流れる窓の外の景色に視線を遣った――…。


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