スイートスキャンダル
朝から一緒にいるとは言え、あたし達がまともに話したのは今日が初めてだという事は、紛れも無い事実。


さっきまではあまり感じる事が無かった気まずさも、さすがに二人きりの密室では浮き彫りになってしまう。


ただ、そんな風に感じているのは間違いなく自分(アタシ)だけで、柊君は相変わらずマイペースに話し掛けて来る。


反して、あたしは何だか落ち着かなくて…


適当に話を合わせつつ、気まずさを隠す為にテレビを点けて何とか間を持たせた。


やっとの事で夕食が運ばれて来た時には、疲労困憊(コンパイ)していて…


「……飲むわよ!」


豪華な海の幸よりも先に、キンキンに冷えた瓶ビールとグラスに手を伸ばしていた――…。


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