スイートスキャンダル
柊君は何事も無かったかのように微笑んで、足元に置いていたミネラルウォーターと錠剤を差し出した。


「はい、二日酔いの薬です」


「え?」


「体、つらいんでしょ?よく効くやつなので、飲んで下さい」


「あ、ありがとう……」


柊君の顔をまともに見る事が出来ないままその二つを受け取って、言われた通り喉の奥に流し込んだ。


冷えたミネラルウォーターが体に染み渡って、喉の渇きが癒されていく。


柊君はそんなあたしの姿を見守るように、柔らかい表情を浮かべていた。


さっきとは打って変わったような沈黙に気まずさを感じて戸惑っていると、タイミング良く部屋のベルが鳴って朝食が運ばれて来た。


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