想 sougetu 月

サファイア

 真ん中誕生日を来週に控えた日曜日。

 歩ける範囲の不動産屋さんを回りきってしまった私は、シイナと川崎君の言葉に甘え、車を持っている川崎君に不動産屋さん巡りを手伝ってもらっていた。
 回れるのはシイナのバイトが終わる5時までだったけれど、夕食の時間には帰宅したかったので時間的にもちょうどいい。
 やっぱり車があると行動範囲が広がる、

 川崎君に助けてもらって不動産屋さん巡りに行くのも今日で4回目。
 車内ではずいぶん打ち解けたムードだ。

 会話の内容はもっぱらシイナのことや学校など共通の会話ばかりで、川崎君は元々興味がないからかもしれないけど、私のプライベートなことには一切触れようとせず、それが川崎君への警戒を少しだけ緩めたのかもしれない。

 不動産屋さんを巡り終わって5時少し前にシイナのバイト先近くで待ち、シイナが出てくると駅まで送ってもらう。
 それがなんとなく決まっていた流れだった。

 でも今日は真っ直ぐ駅まで送ってもらうことになっている。

 本当は今日は物件なんて見に行きたくはなかった。
 時間がないし、やっぱり車を出してもらっている立場なので、早く決めたかったので行ったけど・・・。

 今朝、斎に何をしてるのか問い詰められ、少しもめてしまった。

 ここ2週間、連日で4日間も出かけているせいだ。

 最初はシイナと会っていると言えば納得していた。
 しかし、土曜日と日曜日の両方を連続で2度も外出しているし、その前から不動産屋さん巡りをし始めてよく出かけていたので斎に不信感を抱かせたようだ。

 上手な良い訳も出来ないまま家を飛び出すように出かけてしまったので気が重い。
 きっと斎はひどく不機嫌になっているはず。
 それが気になっていた。
 
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