想 sougetu 月
エメラルド
 ふと目が覚めて時計を確認すれば、もう深夜2時をすぎていた。
 斎が帰宅し、押し倒されてから6時間以上が経っている。

 起き上がろうと上半身を起こしたとたん、下半身に痛みが走った。

 何だか熱っぽく体がだるい。
 それでも起きようとして斎が側にいない事に気づいた。
 部屋を見渡すけど、斎の姿はない。

 自分の部屋に戻って寝ているのだろうか?

 今の私はシャツだけ身に付けていて、下は何もつけていない。
 上には毛布が掛けられており、部屋には暖房がかかっている。

 喉も渇いたし、体を洗いたくってお風呂に入ろうとベッドから降りようとした時だった。
 体にまったく力が入らず、私はベッドから転げ落ちたのだ。

「い……っつ~」

 頭から落ちて肩をしたたかに打ち付けてしまったようで、左肩がズキズキと痛む。
 痛みをやり過ごそうとしばらく動きを止めた時だった。

 いきなりドアが開いた。
 ドアを開けたのはもちろん斎だ。
 
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